工業標準化法(JIS法)の改正〜平成17年10月1日施行〜
JISマーク制度大幅リニューアル
国際基準で広く活用へ……
         暮らしに安心と安全を……


 このマークをご存じですか。そう、JISマークです。これが付いているだけでちょっと安心して買えるような……でも、最近、あまり見かけなくなったと思いませんか。
 実は、JISマークは、平成17年10月1日より新JISマークとして生まれ変わりました。今回は、これらJIS制度について取り上げてみましょう。

JIS――安全で便利な生活のため規格を定める

 JISとは、「日本工業規格」(Japanese Industrial Standards )の通称で、この制度は「工業標準化法」(1949年制定)という法律で定められています。
 たとえば、電池1個にしても、各メーカーがてんでバラバラな大きさや性能のものを作ったのでは、不便で仕方ありません。“単3乾電池”といえばこの大きさで、寿命はこうして測定して、安全性は最低これだけでと、統一した基準を作ることはとても大切なことです。
 このように、工業製品に互換性をもたせたり、あるいはその品質や安全性を確保するために、種類や形状・寸法・構造・性能等々さまざまな点について、国が全国的に統一した基準を定めたものが「JIS」という規格です。
 このJIS規格の数は、実に9601(平成17年3月)に及んでいます。JISの中には、製品の品質・機能等を定めたもののほか、その前提となる用語・記号等を定めたもの、また、試験・測定方法などを定めたものもあります。
 ちなみに、JISは義務づけられたものではありません。JISからはずれた不適合品を作ることは自由です。また、JISが定められていない製品等も数多くあります。さらには、業界内で、JISとは別の独自の基準を決めることもあります。

身のまわりから消えるJISマーク

 さて、このJIS規格のうち、製品の品質・機能等を定めたJISを満たす製品に付けることができる特別なマークとして誕生したのが「JISマーク」です。
 このJISマーク、これまでは、主務大臣が指定した商品についてのみ、使用が認められてきました。しかも、工場・事業所ごとに、国か国がとくに指定した機関に認定してもらう必要がありました(有料)。
 行政改革と規制緩和の流れの中で、近年、この指定商品の数は減る一方で、平成17年3月時点では526品目にまで落ち込んでいます。身近なところでは、鉛筆も指定商品からはずされて、JISマークが使えなくなっていました。
 また企業の側も、わざわざJISマークを付けることにこだわらなくなっています。JISでは最低水準しか示していないようで、消費者を引きつけるためのアピールメリットもないと判断し、業界内で安全性や性能でもっときびしい目安を自主的に定め、新しいマークを作ることが活発に行われています。
 こうして、ますますJISマークを見る機会は減ってきたのです。

指定商品制の廃止
   認証機関も登録制

 さて、「工業標準化法」の改正により、平成17年10月1日から、新しいJISマーク制度がスタートしました。
 まず、指定商品しか使用できないとの制限を撤廃し、製品JISが定められているあらゆる商品にJISマークを付けることが可能としました(19条)。
 さらに、国や国が指定する6つの財団法人(日本規格協会・電気安全環境研究所等)から、工場ごとに認定を受けねばならない従来のシステムを改め、主務大臣の登録を受けた民間機関が、メーカーや販売業者・輸入業者の申請により認証することができるとしました。
 そしてマークのデザインも一新されました(左図)。しかも、特定分野だけのJISマークも登場し、新しいJISマークが広く活躍することが期待されています。

製品試験と管理体制をチェックしてマークを認証

 JISマークの認証機関は、国際標準(「ことば欄」参照)で定められた製品認証機関としての機能・能力を満たしてさえいれば、原則としてすべて登録を受けることができます。ただ、マークを認証してもらうメーカーと親会社・子会社の関係にあるとか、役員がダブっているなど、公平性・公正性等に問題がある場合は、当然認められません(27条)。
 国は、この登録認証機関をきびしく監督し、定期的にチェックすることで、JISマークへの信頼性を担保することとなります。また、製造業者等に対しても、必要に応じて検査し、JISの内容に適合しない場合は、JISマークの除去や販売の停止を命ずることもあるのは、従来どおりです(22条)。
 登録認証機関では、その製品についてJISに適合するかどうかの製品試験を行い、さらに、製造設備や検査システムなど製造品質の管理体制が基準を満たしていてコンスタントに適合品を生産できるかをも判断したうえで、JISマークを認証します(19条3項等)。

JISマークに代わって自己適合宣言もできます

 従来は、指定商品でないためJISマークを付けることができなかった商品に対しては、国が認定する試験機関に商品試験をしてもらうと、特定マークを付した証明書がもらえる制度がありました(試験所認定制度。JNLA,Japan National Laboratory Accreditation system)。
 このJNLA制度の改正は、JISマーク制度より一足早く、平成16年10月からスタートしています。
 これも同じく、試験機関を登録制として、国際標準を満たす民間機関に広く開放しました。そして登録試験機関が行う製品試験は、製品JISが定められているあらゆる商品へと広げられたのです。
 この制度を活用するなどして、メーカー自らが、製品がJISに適合していることを確認すれば、JISマークは付けることができないものの、自身でJISへの「自己適合宣言」をすることも可能となりました。
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 おなじみの旧JISマークは、経過措置として、平成20年9月末まで継続使用が認められています。






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