
援助交際・児童買春……児童の性商品化に歯止め!
出会い系サイト規制法スタート
18歳未満の児童は利用してはいけません!
平成15年9月13日施行

今子供たちが狙われる!出会い系サイトは危険がいっぱい!
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携帯電話の普及はめざましく、今では中学生や高校生も当たり前のように携帯電話をもっています。そのため、近年急増している、いわゆる出会い系サイトを利用した事件では、被害者の実に84%が18歳未満の児童なのです(平成14年)。
インターネットという匿名・仮想の世界は、犯罪者にとっても便利なシステムであり、児童が興味本位に軽い気持ちで近づいた結果、監禁・強姦・恐喝・殺人……凶悪な犯罪に巻き込まれる事件が後を絶ちません。
一方、遊ぶお金ほしさから児童が自分自身の性を安易な商品とするいわゆる援助交際の温床ともなっています。児童買春の何と9割以上が、子供からの誘いがきっかけとなっており、これにも出会い系サイトが広く利用されているのです。
表 出会い系サイトで巻き込まれた主な犯罪(検挙件数)
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H12年 | H13年 | H14年(前年比) |
児童買春・児童ポルノ法違反
青少年保護育成条例違反
重要犯罪(殺人・強盗・強姦等)
粗暴犯(暴行・傷害・脅迫・恐喝)
その他(児童福祉法違反等) |
41
20
15
7
21 |
387
221
73
66
141 |
813(2.1倍)
435(2.0倍)
100(1.4倍)
128(1.9倍)
255(1.8倍) |
合 計 |
104 |
888 |
1731(1.9倍) |
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こうした深刻な事態に、事件が起こってしまってから児童買春法(「そよ風」101号参照)や刑法等で対処するだけではなく、事前に、出会い系サイトの危険性から子供たちを守るために、新たに「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(出会い系サイト規制法)が制定され、平成15年9月13日より施行されました。
この法律で対象となったのは、見知らぬ異性との交際を希望する旨の情報をインターネットを通じて広く掲示して、しかも電子メール等で連絡がとりあえるようにするサービスです(いわゆる出会い系サイト、2条)。これは、有償・無償を問いません。また、いわゆるピンク系サイトに限定したものでもありません。もっとも、純粋に趣味等の話題を論じあういわゆる趣味サイトは、もちろん規制されません。
こうしたサイトの利用者は、次のことが禁止されました(6条)。
- (1) 18歳未満の児童との性交等を持ちかけること
- 例:女子中学生で僕とHしてくれる人いませんか(26歳・会社員)
- 私とHしてくれる人いませんか(16歳・高校生)
- (2) 金銭などの対価を示して18歳未満の児童との交際を誘うこと
- 例:女子中学生で¥3で会ってくれる人いませんか(45歳・会社員)
- お小遣いくれればお茶してもいいよ(14歳・中学生)
これに違反した場合は、100万円以下の罰金に処せられます(16条)。大人からの誘いだけでなく、児童からの誘いも処罰の対象です。児童の場合は、家庭裁判所に送致され保護処分等に付されることになります。
出会い系サイト事業者への具体的な規制は、平成15年12月1日から施行されます。
まず、広告・宣伝の際に、また利用を受け付ける際にも、18歳未満の児童はこのサイトを利用してはいけないことを明記することが義務づけられます(7条)。さらに事業者は、利用者が18歳未満の児童でないことを確認することが義務づけられることとなります(8条)。ただ、実際に確認することはきわめて困難なため、自己申告制となる予定です。
これに違反した場合は、各都道府県の公安委員会から是正命令が出され(10条)、これに従わなければ、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(15条)。従業員が業務に関連して罪を犯したときには、使用者・会社・店もこの罰金刑が科せられます(18条)。
直接のサイト事業者だけでなく、それを支えるプロバイダや携帯電話会社にも、児童の出会い系サイト利用を防止するために努力することが盛り込まれています(3条)。たとえば、プロバイダ契約の際に本法の遵守を規定し、違反した者の契約を解除するとか、フィルタリングシステム(違法・有害な情報を閲覧したり受信することを制限する機能)の開発とその普及に努力するなどが期待されます。
さらに児童の保護者も、こうしたフィルタリング機能を、子供の利用する携帯電話やパソコンに設定するよう努めることとなります。
また、国や地方公共団体にも、教育・啓発のための活動等に努めることが明記されました。
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IT社会では、膨大な情報が満ちあふれ、判断力の未熟な子供たちにも絶え間なくふり注いでいます。こうした時代には、法律などで有害情報から子供たちを保護するだけではなく、広く教育の場で、子供たち自身が有害情報から身を守る能力──情報を一方的に無防備に受け入れるのではなく、情報の価値を自らで判断する能力を育てる教育(メディアリテラシー教育)がさらに必要とされています。


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