あなたの車は大丈夫?!
不正な改造車の取締り強化
道路運送車両法の改正

悪質な改造車両は交通事故や公害の原因


 「道路運送車両法」が改正され、平成15年4月1日より、改造車両の取締りがきびしくなりました。
 同法は、自動車等の登録制度について定めるとともに、その安全性を確保するための措置についても定めています。そしてこの法律に基づいて、さらに具体的な「道路運送車両の保安基準」が定められ、メーカーはこのくわしい基準にしたがって車を製造し、保安基準を満たした車だけが、検査を通過して公道を走ることが許されているのです。
 この保安基準に満たない車には、整備命令が出されることになります(54条)。しかし、たとえばブレーキランプ(制御灯)や方向指示器が点灯しないなど、整備不良が原因で基準を満たさなくなった車と異なり、改造車両は、保安基準を満たしている車両を、意図的に違反車にする行為であり、より悪質といえましょう。改造車は、交通事故や公害を引き起こす原因となっています。
 今改正では、新たに改造車両についての規定をとくに盛り込むことにしました。

不正改造車は15日以内に整備しなおせ!

 まず、不正改造等の禁止が法律に明文化され、自動車を改造したり、装置を取り付けたりあるいは取り外したりして、保安基準に適合しなくすることが禁止されました(99条の2)。
 こうした改造が原因で保安基準が守られていない場合には、整備命令が出されるとともに、自動車の前面ガラスに前方から見やすいように「不正改造車」と大書されたステッカーが貼られることになります。また同時に、使用方法や経路を制限するなど必要な指示を出すこともできます。違反者は、命令から15日以内に、車を元どおり保安基準を満たすように整備し直して、各地の運輸支局に当該自動車を現物提示しなければなりません。
 もし、15日以内にこの整備が行われないときには、6ヶ月以内の期間を定めて使用停止命令が出され、運輸局に車検証とナンバープレートを預けることとなります。たとえこの期間がすぎても、当然ながら、保安基準に適合するまでは、その車両は運転が禁止されます。
 整備命令に応じず整備をしなければ、50万円以下の罰金に処せられ(109条)、さらに、命令に従わず、車検証を返納しなかったりナンバープレートを預けなかったり、あるいは使用停止に応じず運転を続けたときには、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(108条)。
不正改造の代表的な例
・灯火類の色を変更
  基準:制御灯…赤、方向指示器…橙、尾灯…赤
      車幅灯…白・淡黄または橙
      後退灯…白、後部反射器…赤
・前面ガラス・側面(前)ガラスへの着色フィルムの貼付け
  基準:ドライバーの視界妨げる濃い色はダメ
     (可視光線の透過率が70%以上必要)
・マフラー(消音器)の切断・取り外し
  基準:小型二輪自動車…近接排気騒音94dB以下
      乗用車…同96・100dB以下
・車体から外へはみ出した幅広タイヤ・ホイールの装着
  基準:タイヤなど回転部分が車体から突出しないこと
・その他
  トラックの荷台にさし枠をつけて過積載する。
  ディーゼル自動車の燃料噴射ポンプのゆがみで黒煙を噴出。
                          等々。

整備管理者の選任・資格要件は緩和

 ちなみに、整備管理者の選任要件も、同じく平成15年4月1日から緩和されました(50条)。
 従来は、自家用乗用車でも10台以上所有していれば整備管理者の選任が必要でしたが、自家用の車については、1)定員30人以上のバスを所有する、2)11〜29人乗りのマイクロバス2台以上を所有する、3)総重量8トン以上の大型トラックを5台以上所有する、の場合にのみ整備管理者が必要とされ、それ以外は選任の必要はありません。なお、事業用車両やレンタカーについては、従来どおりの規定となっています。
 さらに、整備管理者となるための資格要件についても同時に緩和されています。

リコール隠しには最高2億円の罰金

 近年、自動車のリコール(メーカーが、安全性に欠陥がある車を自主的に回収し無料で修理する制度)が相次いでいます。しかもなかには、企業ぐるみでリコール隠しを行う事例も発覚し、社会的な問題となりました。
従来は、このリコールについては、車両に欠陥がみつかったときに国土交通大臣は改善措置を勧告し、これに応じないときに公表するという権限しかありませんでした。また、リコール隠しをしても、法人に科される罰金は20万円が最高でした。
 そこで、道路運送車両法の改正により、国土交通大臣が強制力をもったリコール命令を出すことができると明記しました(63条の2第5項)。この命令に違反すれば、300万円以下の罰金または1年以下の懲役が科せられます(106条の2、併科もあり)。そして、会社をあげてリコール隠しをする企業に対しては、2億円以下の罰金が科せられると、大幅な引上げが行われました(111条)。
 この改正については、平成15年1月17日からすでに施行されています。
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 このほか、本改正により、タイヤとチャイルドシートにもリコール制度が導入されること(平成16年導入見込)、廃車にして抹消登録手続きをするためには自動車リサイクル法に適合した処理をした旨の証明が必要とされること(平成17年導入見込)などが決まりました。




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