平成13年4月から表示されています

〜組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査手続・製造基準〜
〜遺伝子組換えに関する表示等基準〜



 バイオテクノロジーが飛躍的に進歩し、今や、技術的にはクローン人間まで作ることが可能だという世の中がやってきました。
 食品の分野でも、DNA遺伝子を人工的に操作することで、「害虫に強い」「日持ちがよい」「除草剤に強い」などといった農産物が次々生み出されています。しかし、こうした食品は長期的に摂取しても大丈夫なのでしょうか。どの程度なら安心できるのでしょうか。また、アレルギーを起こす原因にはならないのでしょうか──消費者にとって不安は増すばかりです。
 そこで、2001年(平成13年)4月より、これら「遺伝子組換え食品」を国として法的に管理することとしました。

大丈夫?遺伝子組換え食品の安全性は…

 「食品衛生法」は飲食物の安全をはかるための法律です。この法律に基づいて、販売される食品や添加物には、製造・加工・使用・調理・保存の方法などの基準が定められており、この基準にそわない食品や添加物の販売は禁止されています(7条)。しかし、遺伝子組換え食品については、とくに規定はなく、実質的な野放し状態となっていました。

 そこで、遺伝子組換え食品について、その安全性の審査を受けることを義務づけ、そのためのくわしい基準を定めました(組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続)。さらに、審査をパスしたものについても、その製造段階を規制して一定の基準を満たさなければ、市場に流通できません(組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準)。これらの措置は、2001年(平成13年)4月1日からようやく義務づけられました。
 安全性審査では、たとえば、

等々について審査され、その結果が公表されます。
 一度、公表された食品についても、新たな科学的知見が生じれば、再評価を行う措置がとられることになっています。

安全性審査を受けていない食品の製造等は禁止

 安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品を製造・輸入・販売等することは禁止されています。これに違反した場合には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます(30条の2)。

 万が一、基準に適合しない遺伝子組換え食品が市場に出回った場合には、廃棄命令・回収命令・輸入食品の本国への積み戻し命令など、強い行政処分がとられます。また、モニタリング検査(抜き取り検査)を実施し、安全性審査を受けていない食品が流通していないかを確認しています。
 なお、安全性審査に用いた、開発業者や輸入業者などが提出した申請資料は、原則として、日本食品衛生協会と大阪食品衛生協会で自由に閲覧できます。

遺伝子組換え食品にはどんなものがある?

 この基準に従って、2001年(平成13年)9月末までに安全性が確認されたものは、大豆・ナタネ・ジャガイモ・トウモロコシ・綿実・テンサイの6作物(39品種)です。このうち、テンサイについては、日本では生産・販売していません。

表1 遺伝子組換えが流通している農産物
1 大豆(枝豆・大豆もやしを含む)
2 とうもろこし
3 ばれいしょ(じゃがいも)
4 なたね
5 綿実(わた)

 したがって、日本で実際に流通している「遺伝子組換え農産物」は、表15種類の農産物です(2001年12月現在)。
 これら農産物については、消費者が判断するために、正しい表示が行われている必要があります。そこで、改正された「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」を適用し、表示することを義務としました(19条の8、「そよ風」106号参照)。

表示にご注意!名称・原材料名の下のカッコ書き

 対象となるのは、表1の5種類の農産物と、このうち大豆・とうもろこしを原料とした表224種類の加工食品(加工後にもDNAやタンパク質が残るものが指定されている)です(2001年12月現在)。
 表示のポイントは、次の3つに分かれます。

表2 遺伝子組換えについて表示の対象となる加工食品
加 工 食 品 対象となる原料
1 豆腐・油揚げ類
2 凍豆腐、おから及びゆば
3 納豆
4 豆乳類
5 みそ
6 大豆煮豆
7 大豆の缶詰・びん詰
8 きな粉
9 大豆いり豆
10 1〜9を主な原材料とするもの
11 大豆(調理用)を主原料とするもの
12 大豆粉を主原料とするもの
13 大豆タンパクを主原料とするもの
14 枝豆を主原料とするもの
15 大豆もやしを主原料とするもの
16 コーンスナック菓子
17 コーンスターチ
18 ポップコーン
19 冷凍とうもろこし
20 とうもろこしの缶詰・びん詰
21 コーンフラワーを主原料とするもの
22 コーングリッツを主原料とするもの
  (ただしコーンフレークは除く)
23 とうもろこし(調理用)を主原料とするもの
24 16〜20を主原料とするもの
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
大 豆
枝 豆
大豆もやし
とうもろこし
とうもろこし
とうもろこし
とうもろこし
とうもろこし
とうもろこし
とうもろこし

とうもろこし
とうもろこし

(a) 表示を義務づけられたもの
 表1・2のうち、遺伝子組換え農産物を使っている場合に、原則として表示が義務づけられました。
 このうち、生産・流通および加工の各段階で、遺伝子組換えのものとそうでないものとがきちんと分別管理されているものについては、名称や原材料名のあとに「遺伝子組換え」と記載。
 こうした分別管理ができていないものについては、「遺伝子組換え不分別」と表示。
 また、動脈硬化などの予防にきくオレイン酸を多く含む大豆については、「特定遺伝子組換え」「特定遺伝子組換え混合」と表示。
(b) 任意に表示すればよいもの
 表1・2のうち、遺伝子組換え農産物を一切使用していない、あるいは遺伝子組換え農産物が原材料(重量)の上位3位以内でしかも5%未満であるときには、とくに表示の必要はありません。
 また、加工後にDNAやタンパク質が残らないため、表2に含まれなかった加工食品(たとえば、しょうゆ・大豆油・マッシュポテトなど)も表示の必要はありません。
 逆に、遺伝子組換え農産物を使っていないことをアピールしたいときには、そうした表示をすることもできます。
(c) 遺伝子組換えについての表示が一切禁止されたもの
 表1以外の農産物、及び表1の農産物を使っていない加工品には、一切、遺伝子組換えに関連する表示は禁止されます(現在、日本には表1の5種類の農産物以外には、遺伝子組換え食品は流通していないのに、こうした表示は、当該製品以外は遺伝子組換えが行われているかのような誤解を消費者に招くため)。

*       *       *

 現在の科学的検査には限界があり、遺伝子組換え食品について安全性議論はまだまだ続きます。薬害エイズ、ヤコブ病、そして狂牛病の発生等々、いずれも政府の対応の遅れが被害拡大の原因といえましょう。
 遺伝子組換え食品についても、消費者は、気になることはどんどん聞きましょう。問い合わせは、農林水産省『消費者の部屋』などで受け付けています。

〜お問い合わせ先はこちら〜
安全性審査申請書類等
閲覧場所
日本食品衛生協会
   03(3403)4127
大阪食品衛生協会
   06(6227)6222
農林水産省
「消費者の部屋」
一般相談
   03(3591)6529
子ども相談
   03(5512)1115
インターネット 厚生労働省
 http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/
農林水産省
 http://www.maff.go.jp/idenshi.html




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