< 平成12年(2000年)5月31日以前に結ばれた金銭使用貸借契約については、こちらをご覧ください。>
非人道的で悪質な取立を断つ!
上限金利29.2%に引き下げ
保証人にも事前に・融資ごとに書面交付
平成12年6月1日スタート
商工ローンは、銀行の貸渋りにあえぐ中小企業に一時的な貸付をおこなう重宝な存在です。しかし反面、リスクが大きいため、高金利が設定され保証人に大きな負担がかかるなど、その過酷で異常な取立の実態が社会問題となりました。
そこで、事件をきっかけに、高金利を是正し、保証人を保護し、また不正な取立を取り締まるため、3つの法律が改正され、2000年6月1日より施行されました。
高金利の引下げ グレーゾーンの圧縮 |
まず、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)が改正され、金銭の貸付を業として行う場合の最高金利は、年29.2%=日歩8銭(従来は、年40.004%=日歩10.96銭)に引き下げられました(5条)。
また「利息制限法」も改正され、遅延損害金等の賠償額がこの利率を上回ることのないよう、通常利息の1.46倍(従来は2倍)以下にするよう引き下げられました(4条)。
ちなみに、金利はこの2つの法律で規制されています(左図参照)。そして、利息制限法を超え出資法までの間の部分が、いわゆるグレーゾーンと呼ばれ、貸金業者が一定の要件(貸付契約書・返済の受取書などの交付)を満たして貸付け、一方借主が任意に支払った場合には、その弁済は適法と認めています(みなし弁済、貸金業法43条)。
また「貸金業の規制等に関する法律」(貸金業法)も改正され、貸付利率は、単に利息と銘打ったものに限らず、礼金・手数料・調査料などいかなる名義であれ支払わねばならない部分も含めた金利で表すことが明文化されました(14条1号)。
今回の金利引下げでグレーゾーンは圧縮されましたが、依然として残ることとなります。そして3年後に、経済情勢や貸金業者の実態等を勘案し、必要な見直しが行われる予定です(附則8条)。
保証人に、貸付の「前」と各貸付「ごと」に書面交付 |
連帯保証人には、債務者と同等の支払義務があります。また、中には根保証契約といって、いくつもの債務を包括的に保証する契約まであります。
しかし従来、この保証人に対しては、貸金業者は、保証契約を結んだときに、その内容について記載した書面を交付する義務があるだけでした。
今回、貸金業法が改正され、保証契約を結ぶ際には、契約より前に、その内容を説明する書面を交付する義務が課されました(17条2項)。また、貸付が行われるごとに、債務者に交付すると同様の内容の書面を、保証人に対しても交付しなければならないとされました(17条4項)。
ちなみに、この根保証についての限度額は法で定められておらず、業界の自主規制によって、当初融資額の3倍となっています。
法の網を破る違法な取立に罰則強化 |
貸金業法では取立について、「人を威迫し、又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない」と定めています(21条)。
この規定は、貸金業者が債権を譲渡した者についても適用されます(24条)。しかし、法の網をくぐりぬける悪質な取立のケースがあとを絶ちませんでした。
そこで、今回、(1)業として保証を行う者(保証業者)、(2)貸金業者の委託を受けて債務の弁済をした者(受託弁済者)、(3)(1)(2)から権利を譲り受けた者へと、規制の枠が広げられました(24条の2〜5)。これにより、「あなたの借金まとめて整理します」「保証人は不要。こちらで用意します」などと親切ごかしに債務を保証し、法を逃れたきびしい取立をすることも禁止されることになります。
そして債権譲渡のときと同様、その相手方が違法な取立を行うおそれが明らかなときには、貸金業者は保証契約・弁済の委託をしてはならず、保証会社等が実際に違法取立をしたときには貸金業者にも行政処分が科せられることとなりました。
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