建築確認・検査を民間に開放
性能さえGoodなら自由な設計OK
平成12年4月1日より全面施行
必要に応じて 中間検査制度を導入 |
これまでは、建築工事が完了したところで検査をしてきました(完了検査)。しかしこれからは、一定の構造・用途等の建築物については、中間検査を受けなければ工事を続行できないものとされます(7条の3・4)。先年の阪神大震災で、とくに大きな被害を受けた建築物の中には、施工の不備に起因するとみられるものが少なくなかったところから、施工時の適法性の確保をはかることが急務とされ、このたびの改正となりました。なお、戸建住宅・プレハブ住宅等で工事監理が適正になされたものについては、一部の検査を省略することとしています。
民間にも建築確認や検査業務を開放 |
このたびの改正により、建築確認や完了検査等を民間の機関(指定確認検査機関)でも行うことを認めました(77条の18)。
これまでは行政庁の建築主事が建築確認や検査の業務を行ってきましたが、年間約110万件の建築着工件数に対して、全国で約1800人の建築主事では(平成8年の全国ベースで1人当たり年間約600件)、迅速・適切な処理が容易でない事情がありました。そこで、新たに、必要な審査能力を備える公正中立な民間の機関であれば、建築主事の業務を行うことができるようにしたものです。なお、そのための人材を確保するため建築基準適合判定資格者が登録されることになりました。
民間に開放されることで、建築確認や検査業務が充実・円滑化するとともに、建築主が独自の検査を依頼するなど自主的に活用することも期待されています(「建築確認」「建築主事」についてはことば欄参照)。
建築基準――細かい仕様規定から性能規定に変更 |
今回の改正では、建築物が満たすべき性能項目(防火・耐震・防風・耐雪など。たとえば、耐火なら、建築物が通常の火災時における火熱に火災が終了するまで耐えられること)について法律で規定し、その具体的な性能基準(たとえば、壁・柱・はり・屋根など部位別の耐火性能基準を数字で表示)を政令で明らかにし、各性能についてその基準を充足するものであれば自由な設計を認めることとしました。
これまでの建築基準は、材料・工法・寸法などの仕様を細かく定める方式を中心にしてきたため、固定化した仕様しかとれず、新しい技術や新材料の円滑な導入をはかるための支障となり、また海外で認められている規格や基準との整合や選択をはかる上で障害となっていることが指摘された経過があります。
地下室利用の緩和・容積率の融通など |
これまで、住宅の居室や学校の教室、病院の病室などは、原則として地階に設けてはならないとしていました(旧30条)。しかしこのたび、防湿などの一定の技術的基準に適合する場合には、これらの部屋を地下に設置してもよいことになりました(29条)。また、住宅については一つ以上の居室に日照がなければならないという規定が廃止されています(旧29条)。
さらに、連担建築物設計という新しい制度が認められました(86条)。この制度は、隣接する建物間で、容積率(敷地面積に対する建築面積の割合)について相互に融通を認めるものです。これまでは敷地ごとに容積率の制限が定められていましたが、これからは所有者のちがう敷地同士でも合理的な設計であると認められるものについては、複数の建物が同一の敷地内にあるものとみなし、容積率等については複数建築物全体が同一の敷地内にあるものとみなして建築規制を適用することになりました。
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