<「児童買春禁止法」は改正され,平成16年7月8日より罰則がさらにきびしくなりました。くわしくはそよ風131号参照

守れ人権!
ストップ!子どもへの性的搾取・虐待
児童買春禁止法の制定
平成11年11月1日施行



子どもたちの権利を守れ


 いわゆるセックス産業を規制する法律は、これまでいずれも、社会の公序良俗を乱すものを取り締まることを目的として、売春した者やさせた者を処罰の対象としてきました(売春防止法、風俗営業法あるいは刑法のわいせつ物頒布罪など)。しかしこのたび成立した新法「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」は、性的な搾取・虐待を受けた子どもたちの人権を守るために制定され、買う側の処罰をも盛り込んだ初めての法律です。
 東南アジアへの買春ツァー、インターネットなどを通じた子どもポルノの供給──いずれも大国日本が、その最大の加害者として国際的な非難を受けてきました。そして国内においても、中高生を相手にした「援助交際」が社会問題となっています。

児童買春は3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
<平成16年7月8日からは,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金>

 新法の対象となるのは、18歳未満の児童です。
 金銭などを支払って児童買春(性交・性交類似行為または性的好奇心を満たすため性器等に触るなどの行為)をした者は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金<平成16年7月8日からは,5年以下の懲役または300万円以下の罰金>に処せられます(4条)。この規定は、刑法の強制わいせつ罪などとちがって、被害者である子どもの告訴を必要としません。また、海外での行為も当然処罰の対象となります(10条)。とくに捜査のための国際協力も盛り込まれ(17条)、相手国の警察が証言を得れば、帰国後の処罰も可能となりました。
 また児童買春をあっ旋した者や勧誘した者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金<平成16年7月8日からは,5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金で,両方の併科もありうる>です。これを生業として行った者は、さらにきびしく5年以下の懲役および500万円以下の罰金<平成16年7月8日からは,7年以下の懲役および1000万円以下の罰金>となります(5・6条)。
 そして、児童ポルノを頒布・販売・レンタル・公然陳列した者、あるいはそれらの目的で製造・所持・運搬・輸出入した者は、いずれも3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます(7条)<平成16年7月8日からは,とくに,不特定の者や多数の者に提供等した者には一層重い刑罰=5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金。両方の併科もありうる=を科すなど,児童ポルノへの規制がさらにきびしくなっている。くわしくはそよ風131号参照。ここでいう児童ポルノとは、児童買春と同様の行為のほかに、子どもを全裸・半裸などにして性欲を興奮・刺激するような描写を行っている、写真やビデオなど実写したものに限られました<平成16年7月8日からは,CD・フロッピー・ハードディスク等々の電磁的記録による記憶媒体も対象とされた>。表現の自由を考慮して絵画は対象からはずされ、また、頒布などを目的にせず単に所持しているだけなら処罰の対象とはされません。

「年は知らなかった」では済まされません!

 たとえ子どもの年齢が18歳未満だと知らなかったとしても、これを理由に、児童買春あっ旋・勧誘罪や児童ポルノ頒布罪の処罰を免れることはできません(9条)。
 さらに従業員が業務に関連してこれらの罪を犯したときは、雇っている使用者や会社・店も罰金刑に処せられます(11条)。
 もっとも重い罪は、児童買春や児童ポルノを作成することを目的として、子どもを人身売買した者で1年以上10年以下の懲役、あるいは同じ目的で外国から子どもを連れ出した者は2年以上の有期懲役に処せられます。これについては未遂であっても処罰の対象です(8条)。
 このほか、捜査・公判の際にも児童の人権へ特別な配慮をすること(12条)、報道の際に匿名性を確保すること(13条)など、こどもの権利を守り、性的虐待を受けた子どもへの保護を定めました。




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